雨の降る夜に





…さあ、眠ろうよ。もうおネムの時間だよ。

ママが言いながら、部屋の電気を消しても、
君たちははしゃぐのをやめずに、反って嬉しそうに一層騒ぐ。

…何がそんなに楽しいの。お布団がぐしゃぐしゃになっちゃうよ。

文句を言いながら布団を敷きなおして、いつかママも笑っている。

くすぐって。
抱き締めて。
しりとりして。
お歌を歌って。

お布団に入って、ママを真ん中に挟んでぴったりと左右にくっついた
君たちの要求は、留まるところを知らない。
ママに寄せられる小さくて冷たい4つの足を、ママの左右の手で
それぞれ暖めながら、足の裏をくすぐって、左に右に向いて小さな体を
抱き締めて、りんごで始まって「ん」で終わるしりとりをして、それから
眠くなるお歌を歌って…。

ようやく君たちの小さな手足は温まった。
外ではまだ雨が降っているらしい。けれどそれは冷たい冷たい冬のとは
違って、どこか暖かいそれ。
その響きを聞きながら、いつしか目を閉じてしまった君たちを、
ぴたりとママにくっついてくるその狭苦しさと暖かさを、
限り無く暖かく味わいながら、ママも目を閉じる。

明日は晴れるといいなって、そう願いながら。 



FIN〜





著者後書き:子供たちと眠りに付くまでのワンシーン。少しずつ暖かくなっていく
雨の音を聞きながら眠る、こんな夜が割りに好きです。